10・31長野市長選 政策要望書

「コロナと暮らし実行委員会」は、長野県在住者、出身者の弁護士、母親、学生などによる実行委員会です。「コロナ禍の生活綴方」に取り組んでいます。今年秋に書籍化の予定です。集まった「生活綴方」を読んで話し合い、以下の政策要望をまとめました。別紙の長野市民分の「生活綴方」と合わせてお届けし、土屋龍一郎さん、荻原健司さんのコメントをいただきました。ありがとうございます。(※荻原健司さんが新市長となりました)

(1)私たちが生きる公共の場をつくるために
主権者が、自分たちの生きる公共の場をどのように作り出すか自由闊達に議論し、決めていく市政を求めます。
コロナ下で生活に困窮する家庭、孤立や孤独、息苦しい状況から家庭あるいは学校に居場所を感じられない子どもが増えています。子ども達や学生は、今しか出来ない学校生活、教育の機会や経験が失われています。声をあげられずにいる子どもや保護者にいち早く気づき、支え合いながら社会にも働きかける仕組みを検討してください。地域で「第3の居場所」をつくったり、食料支援に取り組む団体に地区住民自治協議会が連携し、困窮対策を強める取り組みも生まれています。こうした活動への公的支援は、地域社会の再生につながります。
合理性のない校則や子どもの人権を侵害する校則が問題となっています。長野市における校則の実態を調査し、子どもの人権が侵害されていないかどうか検討することが必要だと考えます。また校則を含むルールの決定過程に子どもが関われる仕組みを検討してください。子ども自身が、ルール作りに関わり、また状況の変化に応じてルールを変更することを学ぶことは、主権者教育としても有用です。
感染拡大防止の手だてを最大限施しながら、学校や大学などでの教育の機会や経験を保障してください。学費・生活費の確保のためにアルバイトに追われる学生が多くいます。教育予算を拡充し、小中高等学校の少人数学級の実現を求めます。大学、高専、専門学校に対する学費減額と給付型奨学金制度の再検討も必要です。「教育県」と言われる長野県の県都・長野市が、議論をリードしていくことを期待しています。

土屋龍一郎さん
市内に住んでいる、さまざまな方々から意見を聞いて、施策に反映することは、移り変わりの早い現代にはとても重要なことだと感じています。このような機会をできる限り作り、実行に移していくことがこれからの市政には必要だと思います。
目下のコロナ禍において、生活に困窮する家庭や、子供たちに対して支援を行う団体が積極的に活動を続けていることは、たいへんありがたく、また、このような活動に住民自治協議会が連携するなど「困ったときはお互い様」という意識があることは、どの時代にあってもたいへん重要ではないかと考えています。
さまざまな支援組織があるなか、どうサポートしていくかについては、関係する皆様から課題などをお聞きして取り組みたいと思います。

荻原健司さん
育児の悩み、発達、教育など、子どもに関する相談が必要な家族のために「子育て総合支援センター」を開設します。子育て支援やリユース活動を促進するためにも乳幼児の生活用品(衣類、おもちゃ、ベビーベッドなど)の定期交換会の開催、地域のつながりを活かした「子ども食堂」や「居場所づくり」の活動を全面的に支持します。
また、新たに「子ども総合支援」の組織・団体の設立支援をし、その組織が受け皿となって総合的に子ども支援を行います。


(2)女性の権利に関わって
コロナ下であからさまな女性差別が露呈しました。孤独感をより加速させ、家庭を持つ女性も、家事や子育てにおける根深い不平等に苦労しています。感染防止対策も加わり、「疲れた」という声が特徴的です。職を失ったり、DVや性的暴行の増加に苦しめられる女性も少なくありません。
雇用、賃金、就学における性差別を撤廃し、すべての人が社会、経済活動に生き生きと参加する当然の権利を保障するため、長野市がその先頭に立つことを望みます。男性に長時間労働を強いる働き方が、結果的に、女性の家事、育児の負担を大きくしています。まずは、市の働き方改革を実現させ、民間企業に範を示すことが必要ではないでしょうか。
DVや性暴力、同意のない性行為がもたらす被害は深刻です。被害者の尊厳回復と犯罪抑止のための政策を求めます。

土屋龍一郎さん
SDGs(持続可能な開発目標)にもありますとおり、今の世の中は「ジェンダー平等」であるべきだと考えています。男性も率先して育児休暇を取る時代となった今、仕事においても、子育てにおいても男女平等になっていくべきだと思います。市役所一つとっても、女性の管理職への登用率や育児休暇もいまひとつですので、市が率先して引き上げるよう取り組みながら、ジェンダー平等について民間企業へも呼びかけて行きたいと思います。

荻原健司さん
男女の機会均等、女性の社会的地位の向上に努め、女性、障がいをお持ちの方など、弱い立場に置かれがちな人々への支援に取り組み、お互いをリスペクトし合える「長野オリジナル」の共生社会を実現します。


(3)いのちを最優先する政治を
新型コロナウイルス対策は、透明性のある公平な行政の理念のもと、科学的知見と事実に基づく合理的な政策決定、適切な情報共有を求めます。コロナ対策のために個人の権利を制限する場合、必要性と許容性を科学的知見に基づき慎重に判断して下さい。コロナ対策を名目として安易に個人の権利を制限することのないように求めます。営業の自由を制限する場合は、補償を求めます。
コロナ禍で、医療、教育、介護、保育、障がい者施設、学童保育、福祉の現場は逼迫しています。逼迫している現場の人員の補充や、補助金の検討を求めます。
文化芸術の作り手たちの心を守る支援の拡充を求めます。
働きたい人が自由に働ける社会を求めます。週40時間働けば人間らしい生活ができる社会の実現を求めます。

土屋龍一郎さん
現在蔓延中のコロナに対する施策は、喫緊の課題で市政においても今すぐにでも、できるところから手を付けなければいけない問題であると考えております。そのためには今年の予算を見直すなどして対策のための財源を見出すなど、一刻も早く市民の安全と安心を最優先したいと考えていますし、市の保健所で日々コロナと奮闘する職員の応援や支援なども考える必要があると思います。
また、(1)と重複しますが、親の貧困から派生する、将来ある子供たちの貧困に命の危険につながらないよう、対策を急ぐべきであると考えています。

荻原健司さん
コロナ禍対策の一環として、児童手当受給者の皆さまを対象とした「新型コロナウイルス感染症対策特別支援金」を給付し、家庭の経済状況に影響されず、子供がその可能性を十分に伸ばしていけるように貧困世帯における学習支援をさらに充実させます。
また、文化芸術の作り手たちの心を守る支援の充実については、シティープロモーション戦略の一環として「集中型芸術文化都市」のブランド化を目指し、建築、美術、音楽でも「世界のナガノ」を目指し、心豊かで創造性ある人材を育てます。


(4)差別解消、人権尊重で、持続可能な地域社会を
コロナの蔓延による経済的困窮、移動制限などの社会的な苦しみ、差別や中傷、分断が深刻な問題になっています。アジア太平洋戦争や原発事故など、過去の過ちを活かし、差別解消、人権尊重で、持続可能な地域社会を求めます。

土屋龍一郎さん
コロナにかかっただけで差別を受けたり、誹謗中傷を受けた事例が新聞等で報じられるたびたいへん残念な気持ちになるのは私ばかりではないと思います。コロナにかからないよう予防接種や正しい情報の告知を行うことは行政の仕事です。こういった差別や、誹謗中傷が起きないよう、一刻も早い未接種の解消、正しい情報の伝達が行えるよう、関係方面と一層連携、協力して取組んでいきたいと思います。

荻原健司さん
人権を尊重し、誰もが住みよく開かれた長野市をみんなの理解でつくるために、性的少数者(LGBTQ)をめぐる課題を市民の皆さんと共有し人権啓発活動に注力します。また、人権侵害、差別、いじめ問題に関係機関・団体とも連携し一人ひとりに寄り添います。
また、持続可能な社会の構築に向けて若い力が必要です。未来を担う若者たちの「SGDs未来会議(仮)」を設置し、SGDs未来都市として、他の自治体や県とも連携して取り組みます